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ゆき
1993年生まれ。目が笑わない系主婦(めっちゃ言われる)。

優しくてちょっと気弱な夫と2020年7月生まれ息子の3人家族です。
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「好きなことの中にも嫌いな部分がある。それも含めて好きでいたいな」そんな気持ちで毎日の「面倒!」を楽しんでいます。
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【本の感想】坂木司「ひきこもり探偵」シリーズ~坂木を支える鳥井~

こんにちは。ゆきと申します(^^♪

今日は私の大好きな小説、坂木司さんの「ひきこもり探偵」シリーズについてお話しようと思います。

初めて読んだのは小学校高学年あたりだと記憶しているので、2005、6年頃でしょうか。

今までに何十回と読み返していますが、子どもの頃と大人になってからとで自分の中で解釈がかなり変わって面白かったので、大学の卒業論文のテーマにもしました。

今日は自分の思う「ひきこもり探偵」シリーズを好き勝手に書いてみようかなと思います。

これから読んでみようと思っている方、ネタバレ・偏見注意ですm(_ _)m

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目次

坂木司さんと「ひきこもり探偵」シリーズについて

「ひきこもり探偵」シリーズは、坂木司さんのデビュー作『青空の卵』と続編の『仔羊の巣』『動物園の鳥』の3作品からなっています。

このシリーズは「ひきこもり探偵」ということでミステリ小説なのですが、人が死なないミステリ、いわゆる「日常の謎」というカテゴリーに分類されます。

外資系保険会社で営業マンとして勤める坂木司と、半ひきこもりで在宅プログラマーの鳥井真一の2人が中心の物語です。

坂木の視点から語られる一人称小説で、ひきこもり気味の鳥井に外への興味を持たせようと坂木がその日あったできごとなどを話すのですが、その話の中の小さな引っ掛かりから持ち前の頭の良さで鳥井が真実を明るみに出す、というのが基本のパターンです。

このシリーズの特徴は、それぞれの章で登場した人物たちがそれきりにならず、後の章でも坂木や鳥井、そして新たに登場する人物たちと関わり合い、登場人物同士の輪ができあがっていくところにあると思います。

作者の坂木司さんは覆面作家で、読者に先入観を与えないように性別は公開していません。

過去に数回サイン会をされていたことがあるのですが、その時は「秘密にしてね」というお約束があったそうです。行きたかった~!

ちなみに作者の坂木司さんと作品内の坂木司は同姓同名ですが、自伝というわけではありません。

当時、東京創元社の社長であった戸川安宣さんから「手元にある短編4本を書籍化しないか」と持ち掛けられたのがきっかけでデビューされたのですが、「急なことでペンネームが思いつかず主人公からとった」と後のインタビューでご本人がおっしゃっています。

子どものころの感想

初めて読んだ小学校高学年から中学生の半ばくらいまでは、書いてあることを言葉通りに受け止めていました。

なんといっても、とても読みやすいんです。児童文学ではないのですが、使われている言葉が優しいのか?言い回しが丁寧なのか?子どもでもさらさらと読めると思います。

性的な問題を孕んでいる謎などもあるので、向き不向きはあるかもしれません。

主人公の坂木が基本的に「良い人」なので、全編を通して穏やかに物語が進んでいくという点もとっつきやすい要素だと思います。

鳥井は育ってきた家庭環境や過去にあった級友からのいじめの影響で、辛い時期にただ1人自分を必要としてくれた坂木に対してのみ心を開いています。

坂木がいないと外出もせず、坂木の精神状態に引きずられるので、普段は理知的な顔をしているのに坂木が泣くと途端に子どもに返ってしまう。

そんな鳥井を心から思いやり、日々支えようと努力する坂木。そういう2人の関係性を、子どもの頃の私は疑いもせず文章からそのまま受け止めていました。

でも、中学生の半ば、一人称小説の特徴をおぼろげに理解し始めたあたりから、「あれ?この物語って本当に坂木が鳥井を支えているだけなのかな?」と思うようになったのです。

大人になってから

一人称小説の特徴は「主人公の視点からのみ語られること」です。つまり、実際の状況はわからないということ。すべて主人公の主観で語られていきます。

それを意識して読み始めたら、「坂木が鳥井を支えているのではなくて、鳥井がその状況を意識して作っているのでは?」と思い始めました。

作中で、坂木は「鳥井を守っているつもりで、実は依存しているのは僕の方だ」と語っています。

子どものころはこの語りを、「鳥井を支えている」という状況に自惚れないように坂木が自分に言い聞かせているようなニュアンスで受け取っていました。

上手く言えないのですが、「それでも坂木が鳥井を支えているんでしょ?」という気持ちがあったんです。

もちろん鳥井が坂木に依存しているのは間違いないと思います。そして、大人になった今は、坂木が鳥井に依存しているのも事実だと感じます。

ただ、この物語はそれだけでは終わらない気がするんです。私が感じているのは、「坂木が鳥井に依存していて、鳥井に頼られることで『誰かに必要とされている自分』を保っているのを、鳥井は気付いているのでは?」ということです。

そもそも安楽椅子探偵(実際は外に出ているので違いますが)のごとく、話を聞くだけである程度物事の裏側を明るみに出してしまう鳥井が、坂木の心の動きに対してだけ鈍感なのも不思議です。

そういう目線で最初から読み始めると、そこかしこの鳥井の言動がとても意味あるものに見えてきます。

こういう解釈をし始めたころは、自分がとてもひねくれているんじゃないかと感じました(笑)

坂木が主人公として物語の主導権を握っているように見えて、実は鳥井の方が何枚も上手なのかもしれません。

このような考え方をし始めてからは、その時の気分によって純粋に文章のまま受け止めるように読んだり、鳥井の言動を意識して読んだりして楽しんでいます。

おすすめポイント3つ

「ひきこもり探偵」シリーズを読んだことのない方、これから読んでみようかなと思っている方に私の思うおすすめポイントをご紹介します。

(今更ですが)ネタバレになってしまうので、深い内容にはあまり触れない部分でのおすすめポイントです!

  1. お料理の描写が美味しそう
  2. 地方銘菓がたくさん出てくる
  3. センチメンタルな気分になれる

鳥井は1人暮らしが長く家にいる時間も長いので、お料理が得意です。美味しそうなお料理の描写がそこかしこに出てくるので、読んでいると飲みたくなってきます(笑)

また、鳥井の趣味の1つに地方銘菓を取り寄せるというものがあります。登場人物の中に旅行好きの友人がいてお土産に買ってきたりもするので、地方銘菓がたくさん出てきて自分でもお取り寄せして味見してみたくなりますよ!

そして最後、基本的に坂木が性善説の人間でセンチメンタルな心情描写が多いので、感傷に浸りたい時にはぴったりの作品です。

最後にそれぞれの作品の中から1節ずつ、私の好きなフレーズをご紹介します。

「生きていく上での幸福は、誰かとわかちあう記憶の豊かさにあると僕は思う。」

『青空の卵』夏の終わりの三重奏より

「寂しさに終わりはない。

僕らはいつでも、たった一人なのだから。

でも、だからこそ誰かと共に歩きたいと願う。

強く、願うのだ。」

『仔羊の巣』カキの中のサンタクロースより

「人間にとって必要なのは、孤独になったとき、心に浮かぶ人たちの笑顔ではないだろうか。」

『動物園の鳥』第二章 パンダの不在より

おわりに

初めて読んでから十数年、これまで何度読み返したかわかりません。

私はどちらかというと、浅く広く色々なものを読むより好きな作家さんの本を何度も読み返すタイプです。

何度読んでも面白い、いろいろな解釈のできる小説がとても好きです。また今日みたいに、自分なりの感想を残していきたいなと思います。

気になった方はぜひ、読んでみてくださいね。

  ゆき>゜)))彡~

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